1.出願
試験の出願のために、学生募集要項を取り寄せなければいけません。私は直接、東大の工学部8号館まで取りに行きました。通常と社会人で出願用紙が違うようなので、社会人用の募集要項をもらいました。
12月上旬に記載した書類を発送して、今消印を見ると12月18日に受験用が届いたので結構ギリギリに届いてました。受験票を見ると試験日は1月29日でした。社会人向け緑の封筒で届きました。
母校に行って過去の成績証明書や修了証明書などを揃えたり、師走だったりして結構バタバタした年末でした。
2.専門試験当日
当日は晴れていた事を良く覚えています。平日だったので会社からはお休みを頂きました。博士課程の専門試験は午後からだったので1時間ほど歩いて試験会場に向かいました。試験会場に入ったら、すでに試験会場は人がいっぱいで、遅刻したのかな?と思ったのですが、修士も同じ試験会場で修士は午前中に別の試験があったようです。
また、外国人の方ばかりだった(7割以上)ので東大の国際化もここまで進んだか!と思ったのですが、あとで内部の東大の子に聞くと冬入試は留学生向けの試験がメインで、日本人の方はだいたい夏入試で受けるとのことでした。
試験当日は、勉強してきた科目が出てきてホッとしました。専門は2時間30分ほどだったので、時間精一杯活用して全力で解きました。試験に関しては、自分で可能な範囲は力を出して、やりきったなという感覚でした。もしかしたら受かるかも?とも浮かれていました。
3.後述試験
口述試験は、やりたい研究をまとめたパワーポイントをベースにして行いました。時間があらかじめ知らされているのですが、舞い上がっていたせいかペース配分を誤り、時間オーバーしてしまい、後半は巻き目で進行しました。質疑応答では計画の甘さなど比較的シビアな質問も多く、前日の受かるかも?という予感とは一転、ダメかもなー・・・に変わりました。
ただ社会人のいいところか、試験結果がどうであれ仕事はしなければいけいないので、気分がダウナーな事が続くこともなく、普通に出社して他の事に打ち込めたのは良かったです。
4.合否の発表
具体的な合否発表日は決められていなかったような気がします。毎日東大の専攻のホームページにアクセスして確認していました。
いま記録を見ると2月15日の15時位に発表になったようです。ホームページにアップロードされたPDFを開いて、自分の番号を見つけた時は本当に嬉しかったです。実感が得られなかったので、わざわざ本郷にある情報理工学系の掲示板まで見に行ってしまいました。
5.入学手続きそしてガイダンス、入学へ
10日後くらいに入学手続きの書類が送付されてきます。この時、社会人は会社の承諾書が必要になります。大学に問い合わせてみても、会社に問い合わせてみても定形フォーマットは無いようだったので、Wordで下書きの書類を作成し直属の上司に確認してもらった上で、書類に押印してもらいました。
3月上旬くらいに必要な書類一式提出しなければいけないのですが、単に担当の方に渡し、必要書類が揃っているのが確認されたらそれで終わりで意外とあっさりしてんだな、と感じました。
ガイダンスが4月上旬にあり、午前は学科全体のガイダンス、午後に各専攻のガイダンスという構成でした。当然自分の子供と同じくらいだろうという若い子ばかりでしたが、ちらほら私のようなオッサンもいただので安心しました。
午後のガイダンスの時に初めて学生証が渡され、いよいよ学生生活というか、博士課程なので研究者としての生活がはじまるのだなと実感しました。
6.最後に
研究者になったら研究者になったで、また大変なのですがそれは後日・・・
入院したのがきっかけで大学院に入る事になりましたが、入院する前はそんなことは全く想像できませんでした。会社とお酒が自分の人生の大半になってしまって、このまま死ぬのかなぁ、とダラダラ生きていた中で入院しました。
一回、入院という形で、人生のメインストリームから外れると今まで見えてこなかった色々なことが見えてきます。今回目に見えたのは助けてくれた救急車の方々や看護師さん、お医者さん、会社の人々ですが、それ以外にも数え切れない人たちに色々な人に支えられながら生きていけるという事に改めて気付かされました。そして一番大事なのは会社ではなく、自分の人生と家族だなと。
一回、メインストリームから外れると、自分の中で多くの認知バイアスがあることに気づきました。こうしなければいけない、こうするべきだ、こんなことはできない、などなど。ただ、この認知バイアスが外れて、色々な視点から物事を見てみると、様々な可能性が目の前に転がっている事に気づきました。
日本という国は、同調圧力が高めの国なので、この認知バイアスが強めにかかってしまい、ちょっと生きにくい国なのかなと感じてしまいます。しかし、そこを一旦外すと結構チャンスに溢れた国だなー、と経験を通して今は考えています。
オッサンでも誰でも資格があれば大学院を受けられますし、国立であれば頑張れる金額で入学も可能です。その他にも教育機会含めて、もっと色々なチャンスがあるのではないでしょうか?営業として会社に入った自分が、10年後にコンピュータサイエンスの研究者になっているなんて想像も出来ませんでした。
私は入院という経験がきっかけで、日本で比較的アクセスしやすい大学院という教育リソースを活用させてもらって、自分の人生の方向性をちょっと変える事ができました。他にも自分が見えていない色々なチャンスがあるかもしれません。
色々ごたごた言いましたが、全ては
やるか、
やらないか
これだけのシンプルなことだと思っています。
何か新しい事を始める人達へ、少しでも参考になれば幸いです。
受験記終わり
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